受講者からの便り(56)


No.56
2006年06月19日〜20日(某社:キャリア開発研修)
   

先日、某社の研修で知り合ったメンバーから、嬉しいメールを頂きました。
彼は「うつ病」で苦しんだ経験を乗り越え、
研修の自己紹介でも明らかにして、真正面から向き合っております。
当然、元気になれたからでしょうが、
元気になっても避けがちなテーマでもあります。
本人の了解を頂き、一部編集して掲載します。
かなり長いですが、ゆっくり読んでください(笑)。

この内容は、「うつ病」で苦しんでいる方、
傍で仲間が苦しんでいるのに気づいていない方、
組織的に改善していく立場にある方にとって、
参考にして頂ければ幸いです。

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『某社の研修で辛い経験を楽しそうに語った者です』

矢野先生
タイトルでお分かりだと思いますが、
先生の目の前の席で目を輝かせながら、
鞭打ちになるんじゃないかと思えるくらい
コクコクうなずいて話を聞いていた●●です。

研修の感想はカードにも書いたとおりですが、
色々な意味で今の自分に対する自信が大きくなり
確信に近いところまで持っていけたという意味で、
ものすごく貴重な経験でした。

正直最初はどんなものなんだろう?と思いながらバスに乗りましたが、
イントロですでにのめり込みました。
「自分の気持ちの変化や、その結果生まれた信念が間違いかどうか、
きっとこの研修でわかるはずや!」と。

実は研修前のことと研修中のことで、
(と言っても、僕がいない会社と家での出来事ですが)
どうしてもお伝えしたいことがあります。
異常なほど長くなりますが・・・すみません。

<研修前のこと>
自分の中に確固たる信念ができあがったのは、
実はここ数週間のことなのです。
それまでは、なんとなく描いていたものの、
輪郭がまったくはっきりしていませんでした。
その信念は、実はとてもシンプルで
『自分が経験した辛い思いを、他の人には味わって欲しくない。
そのために自分が出来ることは、”無理しない範囲で”
できるだけのことはしよう』というものです。

これは当然仕事にもあてはまることで、自分の仕事を通じて
そういう辛い目に遭う人が少しでも減らないか、
そのために何をすればいいか、を常に意識しています。
で、ようやくここ数週間で、
 ◆わが社の中でこれをやれば社内でそういう人は必ず減る
 ◆わが社がそれをやり切れば、世の中も変わっていくはず
 ◆いつかみんな安心して暮らせるようになるはず
というビジョンというか夢というか、とにかくはっきりしたのです。
抽象的にしか表現できないのですが、
いつのまにか一人ひとりの心の中に
 ◆助け合いの心
 ◆人にやさしくする心
 ◆思いやりの心
が目覚めていくはず・・・という色んな仕掛けをしていこう、というものです。

そういう信念で、誰に対しても真剣に真正面から向き合って
『こういうことをしましょう』と熱く語りかけても
一部には全く気持ちを理解してもらえず、
思いをふみにじるような行為もあり、何度もトイレで泣きました。

それが先日限界に達し、”このままではまた同じことの繰り返し”と思い、
突然の午後有休を使って逃げ出しました。
これ以上話しても、自分を否定されるだけだと思うと
怖くて仕方なかったのです。
ただし、やけになったわけでも自暴自棄になったわけでもなく、
『これ以上がまんしていたらヤバイな。ちょっと頭を冷やそう。』と、
ある意味冷静にコントロールした結果の”ちょっとした間”でした。
なので、近くの癒し空間で少しくつろいだら普通に家に帰り、
家内にも包み隠さず正直に全て話しました。
最初はびっくりしていましたが、すぐに安心してくれたようです。

そして、少し冷静になり、偶然にも先生の研修に参加して
自信を取り戻すどころか、確信まで得ることができ、
今日はかなり晴れ晴れと出社できました。
(月曜の朝は、”研修終わっても
 ちゃんと出社できるようになるのだろうか?”
 と真剣に悩んでいたんですよ。実は。)

<研修中の「とてもうれしい」話>
他部署にはほとんど全てを理解してくれる人が一人だけいます。
部内にも、仕事の接点は薄くてもとても心配してくれていた人が
一人だけいます。
そのお二人には、ことあるごとに辛い思いを打ち明け
その都度相談にのってもらっていました。
突然帰ったときもお二人だけはすぐに電話をくれました。
そのお二人が、研修で不在の自宅まで来てくれて、
家内と色々と話をしてくれていたのです。
詳しく書いていたら、どこまでも続いてしまいますので簡単に言いますと、
お二人は
 ◆最近の私の会社での凹み具合を、
  家内が知っていたかどうかを確かめる
 ◆家内の心配を取り除く
 ◆その上で、自分達が絶対に●●を守ると約束する
という目的で来てくれたようです。

病気から復帰してからは、とにかく会社でのことを包み隠さず
家内には話してきたし、最近の辛い思いもすべて話していたので
それを知ってお二人ともかなり安心してくれたようです。
そして、家でもさんざん『この2人だけはわかってくれている。
だから頑張れる。もしいなかったら絶対つぶれていた』と話してきたので、
家内から聞いたことで、余計に安心したのではないかと思います。
しかも、先週、そのうちの一人の方に
『理解してもらえずに今のままの体制でやっていくのは、
ちょっと無理です』と正直に話したのですが、
それも真剣に受け止めていただいたようで、
研修中に僕が一番気持ちよく取り組めるように動いてくれました。
たかが、ひとりの係長ごときのために、
そこまでやってくれたんですよ!

すぐに家内と話し合いをしてくれたことだけでなく、
体制までも変えてくれると知って、
久しぶりに感動泣きしてしまいました。

加えて言うなら、研修で同じグループになったメンバーも、
僕の話にかなり真剣に耳を傾けてくれて、
仕事の内容や冷たい反応を知って、思い切り励ましてくれました。
あれもとてもうれしかったです。

ただ、研修中ひとつだけ残念だったことがあります。
それは、今のわが社には自分と同じ「うつ病」で苦しんでいる人が
想像をはるかに超えるくらい多いことがわかったのです。
しかも、それを教えてくれた人は、信じられないことに
笑いながら話してくれたのです。
その人を責めるつもりはないですが、
こんなに苦しんでいる人が増えてしまった現実と、
それを深刻に思わない人がもっと増えている
という現実を知って愕然としました。
それだけに、余計に今の仕事をなんとしても成功させて、
少しでも苦しむ人を減らしたいし、苦しんでいる人を真剣に心配し
助けてあげられる会社に変えていきたいと強く決心しました。

とてつもなく高いハードルだというのは百も承知ですが、
少なくとも家族と、社内に2人+研修メンバーという仲間がいるし、
社外にはもっと沢山の応援してくれる仲間がいます。
その人達に支えられていれば絶対にやりきれると信じて
”出来る範囲でぼちぼちと”頑張っていきます。

長文乱文申し訳ありませんでした。

p.s.
あれだけ楽しそうに研修を受講している裏で、
こんなドラマチックな展開があったとは、
さすがの先生でも想像できないですよね?
でも、それだけ自分が強く生まれ変われたのだということです。
(油断しているとすぐズブズブはまりますので、
 安心ばかりもしていられませんが)

ふと思い出したのですが、研修に持ってくるよう言われていた
「おすすめの本」 2冊も持っていったのですが、
なぜか研修では使わなかった(笑)。せっかくなので紹介します。

■「いい会社をつくりましょう」
  発行:文屋
  著者:塚越 寛(伊那食品工業社長・・・「かんてんぱぱ」の会社です)
  所感:仕事を進める上での信念を形作るのに影響を受けました
      世の中こういう経営者ばかりならどれだけ平和だろう・・・
      一見普通のことしか書いてないですが、
      実践するのはとても難しい
★注意
書店では売っていません。
アマゾンとかのネット通販でしか手に入りません

■「うつな人ほど強くなれる」
  発行:アスカ
  著者:野口 敬
  所感:くどいほどの内容なのですが、僕が経験してきた道を
      自身の経験として語り、うつな人ほど克服した時はものすごい
      強さを手に入れて、結果としてすばらしい仕事が出来る、
      と訴えるものです。
      研修直前の土曜日にたまたま見つけたのですが、
      これも自信を深める 大きな根拠となっています。
      研修のタイミングも運命的ですが、その研修の前に
      この本に出会えた ことも負けずに運命的な気がします。