受講者からの便り(22)


No.22
2002年6月23日〜26日(某旅行会社:新任監督者研修)
 

おはようございます。
監督者研修では大変お世話になりました。
また、個人的な話も聞いていただき、ありがとうございました。

研修終了後に弊社人事教育課より課題が出まして、別添のように纏めてみました。
フィードバック・情報発信のひとつとして、先生にもお見せしたいと思います。
このメールを出すにあたって、「自分から流さなくても人事が流してくれるのかな」「たいした文書じゃないから参考にならないかな」「かえって迷惑かな」「媚びているように思われるかな」とも思い、葛藤がありましたが、思い切って流すことにしました。
 これも変わる勇気のひとつかなと自分なりに感じています。

 

私から、本人を特定しないように編集した文案を送った所、彼から次の返信が来ました。
この状況の中で勇気もいると思うのですが、彼なりに本気で取り組む姿勢が伝わって来ます。

修正案いただき、ありがとうございます。
正直、自分を特定できないようにしてもらった方が無難かなと思いましたが、思い切って原文でお願いしたいと思います。
自分から情報を発信して、誰かからリアクションがあれば嬉しいと思います。
ちなみに、昨日研修で同じ班になった人から、視察旅行(大手町支店はこの類の旅行が多いので)について質問を頂きました。
今までなら、面倒くさいし、理由はないですが何となく自分のものだけにしておきたい(それによって自分の存在価値が高まると勘違いしていたと思いますが)との意識から、正直に答えていませんでしたが昨日は素直に答えられました。ささやかな喜びでした。

 

 更に、数日後嬉しいメールが届きました。

おはようございます。
HP拝見させて頂きました。ありがとうございました。
昨日見た時は、実名が出ていて恥ずかしいかなと思いましたが、今、実名を出した事が転じて、以下のような事がありましたので、ご報告します。

先生が今回の掲載について、以前お話しされていた「メーリングリスト」の中で公表されたそうですね。そのリストの中に、昨年一緒に2週間程海外研修でご一緒した(添乗した)お客様がいました。
そこで、今連絡を貰いまして、感想を伺えました。
某有名企業の方で、今は人事とは別の部署にいらっしゃる方です。
世間は狭いといいますか、縁だなと感じました。
実名出してよかったと思いました。

これからの私の実践

平成14年6月27日
大手町支店
 村上一宏


 今回の研修を受講して、自分を裸にしてみた。そこで感じた事は数多くあり、その多くは何となく自分で感じていながら、きちんと自分自身を見つめ直す機会がなく、流されてきてしまった部分である。
ここに、改めて自分自身について感じた事、改善しなければならない事を整理し、自分自身を律する材料にしたい。

まず、自分自身について考えてみると、悪い意味で「自信過剰気味」になっていたと思う。自分なりに入社以来の会社生活の中で、やってきたつもりであり、それが自信になっているのだと思うが、今の自分にとってはひとつの壁を作って来たのだと思う。
例えば新しい手法に取り組めずに現状のやり方に満足してしまっている自分、自分の事は棚に上げて周りを批判している自分、自分の考えを必ず通そうとしている自分が、今ここにいるのを痛烈に感じた。
まずはここを改めたいと思う。
具体的には、何かひとつ新しい企画旅行(主催旅行)を作り、販売するまで立ち上げていきたいと思う。
大手町支店に来て3年目。異動してきた当初は積極的に主催旅行の販売に向けてチラシを配ったり、JR券の袋に入れるリーフレットを作成したりしていた。しかし、そこでは良い結果が生まれず、いつの間にかやめてしまっていた。これをまず復活させよう。
加えて、3年目になると、前任者からの踏襲で進めている視察旅行については、勝手が分かってきた。仕事の進め方も要領良くできるようになった。ならば、新しいことに挑戦してみよう。現在自分が受注している団体旅行は、殆ど全てがオーガナイザーの意向に基づいて作成した企画手配旅行であり、コース組みや視察先などは、提案できているが、顧客の旅行需要を掘り起こしているとは決して言えない。これでは、前年の実績からの大きな上澄みは期待できない。昨今は予算削減ということで団費も下落傾向にある。それを埋める、または大きく伸ばす何かを作り出さなければならない。
何かテーマを見つけて、それを勉強して、主催旅行として販売してみよう。そのためには、テーマに対する専門的な学習も必要だし、テーマはタイムリーでなければならない。
今の時点で「このテーマで」と言えるものは無いが、なんとか1年後までにやってみたいと思う。

今度は、自分自身の価値について考えてみよう。
研修でもこのテーマがあったが、ここで掲げることの出来た「価値」はどれも古いものばかりである。一番新しいものでも2年前だ。「最近の自分は、価値を生み出せていないな」と感じた。仕事も軌道に乗り出して、こなすことは出来るようになったと思うが、それ以上を求めなかった自分に気づいた。大手町支店に異動してきた当初は周りの人間の語学力の高さに愕然として、海外添乗中に会話が成り立たず苦労して、それを埋めようと毎日通勤電車の中でNHKのラジオ講座のテープを聞いていた。それをしなくなって何日たったであろう。もったいないことをしたと感じた。いつの間にか、添乗中に苦労することも少なくなって、変な自信をつけ、満足してしまったのであろう。
語学力に限界はない。もう一段階進んでみよう。

職場での自分に目を向けてみよう。監督職になって、上司と部下の間に立っていかなければならないと思い、会議などの場で発言してきた。でも、その内容は部下のための発言だったのだろうか。一度でも部下に意見を聞いて、それから発言した事があっただろうか。「部下のため」と自分で勝手に決めつけて、発言してきた気がするし、さらに言えば「自分のためだけ」だったかも知れない。また、その内容はいわゆる「文句」だったような気がする。言うだけで「あとは管理職で調整してください、それは管理職で決めてください」と逃げていた気がする。中には自分レベルでも処理できることがあったと思う。「良ければ私が調整しましょうか」とこれからは言ってみようと思う。発言する前に、部下の意見を聞いてみようと思う。自分はいつでも発言できるのだから。自分が先陣を切ることで、自分とは違う考えをもった意見を出しにくい雰囲気を作っているのかも知れない。

今度は、家族に目を向けてみよう。忙しい事を理由に遅くまで残業し、最近妻と夕飯を一緒に食べていないことに気づいた。早速、研修の最終日に事務所に寄らずにまっすぐ帰宅し、一緒に食べることにした。だいぶ前の話しを新しく自分にする妻がいた。最近話をしていないなと痛感した。研修中に「家庭がうまくいっていないと仕事に集中できない」という話しがあった。そのとき、「自分はあまり関係ない(うまくいっている)」と感じた。でも、現実はこんな状態だ。他支店の人も言っていたが、仕事はやろうと思えば、毎日徹夜しても終わらないほどある。どこで線を引くかの問題だ(決してサボれという訳ではないが)。週1回、妻と食事ができる時間に帰宅しよう。それが出来るように効率的に仕事を進めていきたいと思う。

部下との接し方については、もともと自信が無かった。案の定、今までの自分を反省させる事項がいくつも議論の中で出てきた。まず、自分の価値観を押しつけている自分。今まで、全て自分のやり方で教えてきた。なぜなら、自分がそれで乗り越えてきたという自信があるから。それを基に部下は良い面だけを学び、悪い面は直せば良いと思っていた。自分自身が駆け出しの時がそうだったから。でも、今の自分は、かなり押しつけてしまっている。自分の完成予想図に合致しないものは全て直させていた。ろくに内容も見ないで。これはまずい。自分自身も新しいやり方を発見するという意味も込めて、もっと自由にやらせてみよう。今までの自分は、上記のようだから、叱る時はいつも感情的、よって他人の前でも平気で怒る、そこに逃げ道はあるはずもない。まずは、叱る前に一呼吸置いて、今日の反省を思い出してみよう。冷静になれば、直せる筈だ。
それから評価(誉める)することをしてみよう。自分もそうだが、誉められて、煽てられて、実力以上の力を発揮する人は必ずいるし、いつも怒られているとそのうち腐りだす人もいる。
今までも、解っているのに出来なかった。今度は本当にやってみたいと思う。

この文章を作りながら、研修終了後の今日の自分を振り返ってみた。
今日のチャンスは2つ。
ひとつは「妻と食事をすること」、もうひとつは「部下との接し方」。前者は、ダメでした。後者は、実践できたかなと思った。ひとつひとつ、少しづつでもいいと思う。変える、変わることはそう簡単ではない。でも変えよう、変わろうという気持ちがあれば、必ずいつか変われると思う。あまり自分にプレッシャーをかけずに取り組んでいきたい。高すぎる目標はあきらめてしまうから。自分の性格を踏まえて、敢えて、そう考える。でも妥協はやめよう。時々この作文を読むようにしたいと思う。これを見て、頑張れる自分になりたい。

以上